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虚構推理シリーズを読む順番 ―小説全7作の刊行順一覧と、長編・短編集の並べ方

城平京の虚構推理シリーズは、小説では『虚構推理』から『忍法虚構推理』まで全7作。長編3冊と短編集3冊が入り混じる刊行順の一覧と、最初は『虚構推理』、最後は『忍法虚構推理』という決まり、短編集をどこで読むかを、仕掛けに触れずに案内します。

目次

城平京の虚構推理シリーズは、2011年の『虚構推理』から2025年の『忍法虚構推理』まで、小説では全7作。幼い頃に怪異たちから請われて「知恵の神」となった岩永琴子と、妖怪の肉を食べて異能を得た大学院生・九郎。この二人が、怪異の側から持ち込まれる相談や、人間の側で起きた事件に、筋の通った「虚構」の推理で答えを出していきます。漫画版やテレビアニメで知った人も多いシリーズですが、小説の刊行順は長編と短編集が入り混じっていて、少し見通しが悪い。

結論から言えば、決まりは二つです。最初は『虚構推理』、最後は『忍法虚構推理』。 あいだの5冊は刊行順が基本ですが、短編集3冊は一話ずつ区切りがつくので、長編のあいだに挟む位置を前後させても支障はありません。このページでは、小説全7作の刊行順を一覧にし、二つの決まりを守る理由と短編集の置き場所を説明し、節目の作品を紹介します。

こんな読者のための一冊たち

  • 漫画やアニメで『虚構推理』を知っていて、小説はどこから読めばいいか知りたい
  • 『虚構推理』を読んで面白かったので、短編集と長編のどちらへ進むか決めたい
  • 怪異と推理を組み合わせた本格ミステリを、まとめて読みたい
以下、仕掛けには指一本触れていません。安心してお読みください。

小説全7作の刊行順 早わかり

年は初刊の年です。版元は講談社で、現行版はいずれも講談社タイガで読めます。

順書名年形式ひとこと
1虚構推理2011長編鉄骨を手に街をうろつくアイドルの都市伝説「鋼人七瀬」。本格ミステリ大賞受賞
2虚構推理短編集 岩永琴子の出現2018短編5編沼に死体を捨てた犯人の動機に悩む大蛇、化け狸のうどんで得たアリバイ
3虚構推理 スリーピング・マーダー2019長編「二十三年前、妖狐に妻を殺してもらった」と打ち明ける大富豪の依頼
4虚構推理短編集 岩永琴子の純真2021短編集恋人のアリバイを知りながら警察に証言できない雪女
5虚構推理 逆襲と敗北の日2021長編連続転落死の現場に居合わせた桜川六花。異郷の野獣キリンの霊
6虚構推理短編集 岩永琴子の密室2023短編集黒いベールの女傑・飛島龍子の過去をほのめかす使用人の幽霊
7虚構推理 忍法虚構推理2025―ネット小説『真九郎忍法料理帖』の書き手は誰か。二人の道行きに答えが出る

読み方の決まりは二つ

一つ目、最初は『虚構推理』。 琴子がなぜ妖怪たちの「知恵の神」なのか、九郎がどんな異能を持ち、二人がどういう間柄なのか。その土台はすべて第1作で据えられます。短編集の書評でも、第1作を先に読んでおくと琴子の立場や九郎との組み合わせがすんなり頭に入る、と案内しているとおりです。推理という行為を反転させた「虚構の推理で都市伝説を打ち消す」という発想も、ここで初めて目にしてください。第12回本格ミステリ大賞を受けた一冊で、シリーズでいちばん広く読まれています。

二つ目、最後は『忍法虚構推理』。 第7作は、不死の九郎と知恵の神・琴子がこれから歩む道にひとつの答えが示される一冊で、シリーズにとっての大きな転機と位置づけられています。二人の関係の行き先に触れるので、ほかの6冊で二人のやりとりに親しんでから読むのが筋です。

あいだの5冊は刊行順が基本です。ただし第5作『逆襲と敗北の日』は、二人と浅からぬ因縁を持つ桜川六花が容疑者になる長編なので、第1作のあとに読んでください。短編集3冊は、怪異からの相談を一話ずつ片づける形で、どこで読んでも話が追えます。

短編集の置き場所

短編集は、第2作『岩永琴子の出現』、第4作『岩永琴子の純真』、第6作『岩永琴子の密室』の3冊。琴子のもとへ怪異が持ち込む相談ごとを、一話ずつ解いていく連作です。長編の合間に刊行順どおりに挟むのが基本ですが、長編を続けて読みたい人は『虚構推理』『スリーピング・マーダー』『逆襲と敗北の日』と長編を先に進め、短編集3冊をまとめて読んでから『忍法虚構推理』へ、という並べ方でも構いません。

途中で迷ったら ―節目の3作

虚構推理 表紙

虚構推理(2011・第1作)

巨大な鉄骨を手にしたアイドルが、街をさまよい歩いている。そんな都市伝説「鋼人七瀬」に、幼い頃に怪異たちから請われて「知恵の神」となった少女・岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べて異能を得た大学院生・九郎が立ち向かいます。武器は、刃物でも呪文でもなく、筋の通った虚構の推理で都市伝説を打ち消すという荒業です。

第12回本格ミステリ大賞小説部門受賞。漫画版が続き、2020年と2023年にテレビアニメ化されました。シリーズの出発点であり、最初に読む一冊です。

虚構推理 スリーピング・マーダー 表紙

虚構推理 スリーピング・マーダー(2019・第3作)

「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」。大富豪の老人が岩永琴子に打ち明けるこの告白から、物語は動き出します。老人の望みは親族に自分を殺人犯と認めさせることですが、手を下したのが妖狐であるため、彼にはアリバイがある。琴子は怪異を伏せたまま、富豪一族の側に「嘘の真実」を推理させなければなりません。

シリーズ3冊目にして、長編としては第1作に続く2作目。怪異と人間の折り合いをつける琴子の仕事が、ひとつの富豪一族を相手にした大きな舞台へ持ち込まれます。2023年のアニメ第2期で映像化されました。

虚構推理 忍法虚構推理 表紙

虚構推理 忍法虚構推理(2025・第7作)

ネットに投稿された小説『真九郎忍法料理帖』を見つけた岩永琴子は、書き手は六花ではないかと疑います。どう読んでも九郎がモデルにされているからです。ところが当の六花には覚えがない。いまも更新が続く物語そのものを手がかりにして、虚構と推理が鎖のようにつながっていきます。

不死の九郎と知恵の神・琴子、二人がこれから歩む道にひとつの答えが示される一冊で、シリーズの大きな転機です。2025年10月に講談社タイガから出た最新作です。必ず最後に読んでください。

残りの4作を、ひとことずつ

  • 虚構推理短編集 岩永琴子の出現(2018)― 沼に他殺死体を捨てた犯人の動機に悩む水神の大蛇、化け狸のうどんのせいで意図せぬアリバイを得た殺人犯。妖怪たちの『知恵の神』岩永琴子が、怪異の側から持ち込まれる難題を一話ずつ片づけていく、シリーズ最初の短編集です。求められるのは真相の言い当てではなく、人間の側が受け入れられる「嘘の真実」の組み立て。収録作の一部は2023年のアニメ第2期で映像化されました。 ▶ レビュー »
  • 虚構推理短編集 岩永琴子の純真(2021)― 事件の夜、恋人がどこにいたのかを知っている。それなのに、戸籍のない雪女はその証言を警察へ届けられない。巻頭「雪女のジレンマ」のほか、高校生の琴子が死体のそばに残された平凡なダイイングメッセージに挑む「死者の不確かな伝言」などを収めた、2冊目の短編集です。 ▶ レビュー »
  • 虚構推理 逆襲と敗北の日(2021)― 警察に呼び出された琴子と九郎は、二人と浅からぬ因縁を持つ桜川六花が、奇妙な連続転落死の現場に居合わせて容疑者になっていると知らされます。六花が語るのは、異郷の野獣キリンの霊による殺戮劇。妖怪がひしめくこのシリーズにあってさえ場違いな取り合わせから、おぞましい「呪い」へと至る長編です。 ▶ レビュー »
  • 虚構推理短編集 岩永琴子の密室(2023)― 一代で飛島家を政財界の華へ押し上げた女傑・飛島龍子は、いつも黒いベールをまとっている。孫の椿の前に現れた使用人の幽霊が、老女の思いもよらない過去をほのめかす「飛島家の殺人」。首吊り自殺に見せかけた殺人の裏に儚い恋物語が隠れる「かくてあらかじめ失われ……」。名家の重い秘密と小さな恋という振れ幅を束ねた、3冊目の短編集です。 ▶ レビュー »

よくある質問

Q. 漫画・アニメを見ている。小説は読む必要がある?

A. 小説には漫画版の原作として書かれた物語が含まれており、第4作以降の短編集と長編は漫画版に先立って小説の形で用意されたものです。筋を知っていても、城平京の文章で琴子の推理を追う楽しみは別にあります。読むなら第1作『虚構推理』からです。

Q. 短編集を飛ばして長編だけ読んでもいい?

A. 第1作、第3作『スリーピング・マーダー』、第5作『逆襲と敗北の日』が長編です。長編だけ順に読んでも筋は追えますが、第7作『忍法虚構推理』に進む前には、短編集3冊で琴子と九郎のやりとりに親しんでおくのを勧めます。

Q. 現行版はどれ?

A. 7作とも講談社タイガで読めます。第1作『虚構推理』の講談社タイガ版は2019年1月に出ました。

Q. 続きは出る?

A. 2025年10月の第7作『忍法虚構推理』が、現時点で小説の最新作です。


最初は『虚構推理』、最後は『忍法虚構推理』。あいだの短編集は好きなところで。鉄骨を手にしたアイドルの都市伝説から、ネット小説の書き手探しまで、琴子の「虚構」の推理を順にたどってください。

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この記事を書いた人

リットン

都内金融機関で経営企画とデータアナリストをしているアラサー。
文系の非エンジニアですが、独学で始めた Python と生成AIにすっかりはまりました。
プログラミング・サッカー・ミステリ紹介など、好きなことを好きに書いています。

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