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マスカレードシリーズを読む順番 ―全5作の刊行順一覧と、『イブ』の置き場所

東野圭吾のマスカレードシリーズは『マスカレード・ホテル』から『マスカレード・ライフ』まで全5作。刊行順の一覧と、必ず『ホテル』から入る理由、前日譚『イブ』をどこで読むか、長編4作の順番を守る理由を、仕掛けに触れずに案内します。

目次

東野圭吾のマスカレードシリーズは、2011年の『マスカレード・ホテル』から2025年の『マスカレード・ライフ』まで、全5作。舞台はいつも一流ホテル、コルテシア東京です。疑うのが仕事の刑事・新田浩介と、疑わないことを仕事にするホテルマン・山岸尚美。正反対の職業倫理を背負った二人が、仮面をかぶってやってくる客たちのなかから真相を探ります。

結論から言えば、決まりは一つだけです。最初は『マスカレード・ホテル』から。 長編4作は刊行順に読み、前日譚の連作『マスカレード・イブ』だけは、好きなところに挟んで構いません。このページでは、まず5作の刊行順を一覧にし、次に『ホテル』から入る理由と『イブ』の置き場所を説明し、節目の作品を紹介します。

こんな読者のための一冊たち

  • 映画でマスカレードを知っていて、原作の続きを読みたい
  • 『マスカレード・ホテル』を読んだので、次は『イブ』か『ナイト』か決めたい
  • 新田と山岸の関係が、巻を追ってどう変わるのかを順に追いたい
以下、仕掛けには指一本触れていません。安心してお読みください。

全5作の刊行順 早わかり

年は初刊の年です。版元は集英社で、第2作『イブ』は単行本を経ずに文庫で刊行されました。第5作『ライフ』は2025年7月刊行の四六判ソフトカバーです。

順書名年形式ひとこと
1マスカレード・ホテル2011長編連続殺人の次の現場はコルテシア東京。新田がホテルマンに扮して潜入、山岸が教育係
2マスカレード・イブ2014連作4話二人がまだ互いの名前も知らなかった頃。それぞれの持ち場で起きた事件
3マスカレード・ナイト2017長編犯人がカウントダウン・パーティに現れるという密告。仮装した客であふれる夜
4マスカレード・ゲーム2022長編同じ手口で殺された3人は、過去に人を死なせた者。警部となった新田が三たびフロントへ
5マスカレード・ライフ2025長編新田はもう刑事ではない。ホテルの保安課長として、新人賞の選考会の日を迎える

読み方の決まりは一つだけ

最初は『マスカレード・ホテル』から。 理由は三つあります。

一つ目は、シリーズの型がこの一冊でできあがっていることです。都内で続いた殺人事件の現場に残された暗号から、次の犯行場所がホテル・コルテシア東京であることだけが判明する。捜査一課の新田浩介はホテルマンに扮して潜入し、フロントクラークの山岸尚美を教育係として客の前に立ちます。疑うのが仕事の刑事と、疑わないことを仕事にするホテルマン。この職業倫理の衝突が推理の推進力になる仕組みは、以後の全作に受け継がれます。

二つ目は、長編4作で二人の立ち位置が巻ごとに変わっていくことです。『ナイト』では山岸がコンシェルジュになり、『ゲーム』では新田が警部となってロサンゼルスから呼び戻された山岸と再会し、『ライフ』の新田はもう刑事ではなく、警視庁を辞めてホテルの保安課長として客の安全を第一に動きます。この変化は刊行順に読むからこそ味わえます。順番を入れ替えると、立ち位置の変化が先に見えてしまいます。

三つ目は、『ホテル』がシリーズでいちばん広く読まれた一冊だからです。2011年の週刊文春ミステリーベスト10で国内4位、ミリオンセラーとなり、2019年に木村拓哉主演で映画化されました。ここで合えば、残り4作は約束された楽しみです。

『イブ』の置き場所

第2作『マスカレード・イブ』は、新田と山岸が『ホテル』で出会う以前の姿を描く4話の連作です。ホテルで客の秘密を守る山岸と、刑事として犯人の素顔を暴こうとする新田、それぞれの持ち場で起きる事件が並びます。前日譚なので、『ホテル』を読んだ直後に刊行順で読んでも、長編4作を読み終えてから戻っても構いません。『ホテル』の前に読むことだけは勧めません。二人が出会う前の話は、出会いを見てから読むほうが効きます。

途中で迷ったら ―節目の3作

マスカレード・ホテル 表紙

マスカレード・ホテル(2011・第1作)

都内で起きた、不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京だということだけでした。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられます。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れるなか、二人は真相に辿り着けるのか。

2011年の週刊文春ミステリーベスト10で国内4位。ミリオンセラーとなり、2019年に木村拓哉主演で映画化されました。シリーズの出発点で、最初に読む一冊です。

マスカレード・ゲーム 表紙

マスカレード・ゲーム(2022・第4作)

同じ手口で命を奪われた3人には、もうひとつ見過ごせない共通点がありました。誰もが、かつて人を死なせたことのある人物だったのです。彼らを憎む遺族たちがホテル・コルテシア東京に泊まると分かり、警部となった新田浩介が三たびフロントに立ちます。ロサンゼルスから呼び戻された山岸尚美に加え、盗聴も辞さない女性警部・梓との衝突が、シリーズにこれまでなかった緊張を持ち込みます。

長編としては3作目。ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2022 小説部門1位。映画化された2作のあとに原作で続きを読むなら、ここからです。

マスカレード・ライフ 表紙

マスカレード・ライフ(2025・第5作)

ホテル・コルテシア東京で『日本推理小説新人賞』の選考会が開かれる日、受賞候補者のひとりとして、ある死体遺棄事件の重要参考人が会場に姿を見せます。迎え撃つ新田浩介は、もう刑事ではありません。警視庁を辞め、ホテルの保安課長として客の安全を第一に動く立場に変わっています。

累計500万部を超えたシリーズの第5作で、2025年7月30日に四六判ソフトカバーで刊行されました。刊行順では、現時点でシリーズの最新作です。

残りの2作を、ひとことずつ

  • マスカレード・イブ(2014)― 新田と山岸が、まだ互いの名前も知らなかった頃の事件を集めた4話の連作。表題作では、東京の殺人の夜に大阪にいたと言いながらホテル名を明かさない男が鍵を握ります。単行本を経ずに文庫で刊行され、ミリオンセラーになりました。 ▶ レビュー »
  • マスカレード・ナイト(2017)― 練馬で起きた女性殺しの犯人がコルテシア東京のカウントダウン・パーティに現れるという密告を受け、新田は再びフロントクラークとして潜入する。コンシェルジュとなった山岸も客への対応に追われるなか、仮装した客であふれる仮面舞踏会の夜が迫ります。2021年に木村拓哉と長澤まさみの主演で映画化されました。 ▶ レビュー »

よくある質問

Q. 『イブ』を先に読んでもいい?

A. 『ホテル』より前に読むことだけは勧めません。二人が出会う前の話なので、出会いを描く『ホテル』を読んでからのほうが効きます。『ホテル』のあとなら、刊行順でも、長編4作のあとでも構いません。

Q. 映画を2本見た。原作はどこから読めばいい?

A. 映画化されたのは第1作『ホテル』と第3作『ナイト』です。続きを読むなら第4作『ゲーム』から。前日譚『イブ』は、好きなところで挟んでください。

Q. 長編4作は、順番を入れ替えてもいい?

A. 刊行順を勧めます。新田は『ゲーム』で警部に、『ライフ』ではホテルの保安課長になり、山岸は『ナイト』でコンシェルジュ、『ゲーム』でロサンゼルスから呼び戻されます。巻ごとに変わる二人の立ち位置を、順に追ってください。

Q. 続きは出る?

A. 著者の東野圭吾は2026年7月に世を去りました。2025年7月の『マスカレード・ライフ』が、現時点でシリーズの最新作です。


最初は『ホテル』、長編は刊行順、『イブ』は好きなところで。決まりはそれだけです。仮面をかぶった客で埋まるコルテシア東京のフロントに、新田と山岸とともに立ってください。

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この特集で紹介した本

マスカレード・ホテル 表紙画像
現代国内

マスカレード・ホテル

東野圭吾
2011年刊、「マスカレード」シリーズの第1作。都内で続いた殺人事件の現場に残された暗号から、 次の犯行場所がホテル・コルテシア東京であることだけが判明する。捜査一課の新田浩介は ホテルマンに扮して潜入し、フロントクラークの山岸尚美を...
#頭をフル回転させたい#地道な捜査を味わう
マスカレード・イブ 表紙画像
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マスカレード・イブ

東野圭吾
マスカレードシリーズ第2作で、新田浩介と山岸尚美が『マスカレード・ホテル』で出会う以前の姿を描く4話の連作である。 ホテルで客の秘密を守る山岸と、刑事として犯人の素顔を暴こうとする新田、それぞれの持ち場で起きる事件が並ぶ。 表題作では...
#通勤30分で1話#頭をフル回転させたい#地道な捜査を味わう
マスカレード・ナイト 表紙画像
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マスカレード・ナイト

東野圭吾
マスカレードシリーズ第3作の長編である。 練馬で起きた女性殺しの犯人がホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティに現れるという密告を受け、刑事の新田浩介は再びフロントクラークとして潜入する。 コンシェルジュとなった山岸尚美も客へ...
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マスカレード・ゲーム 表紙画像
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マスカレード・ゲーム

東野圭吾
同じ手口で殺された3人は、いずれも過去に人を死なせた者だった。彼らを憎む遺族たちがホテル・コルテシア東京に泊まると分かり、警部となった新田浩介が三たびフロントに立つ。ロサンゼルスから呼び戻された山岸尚美に加え、盗聴も辞さない女性警部・...
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マスカレード・ライフ

東野圭吾
ホテル・コルテシア東京で灸英社主催の『日本推理小説新人賞』選考会が開かれる日、受賞候補者のひとりとして、ある死体遺棄事件の重要参考人が会場に現れる。警視庁を辞めて同ホテルの保安課長となった新田浩介のもとには警視庁から協力の要請が届き、...
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この記事を書いた人

リットン

都内金融機関で経営企画とデータアナリストをしているアラサー。
文系の非エンジニアですが、独学で始めた Python と生成AIにすっかりはまりました。
プログラミング・サッカー・ミステリ紹介など、好きなことを好きに書いています。

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