城塚翡翠シリーズを読む順番 ―『medium』『invert』『invert II』全3作、刊行順が唯一の正解
相沢沙呼の城塚翡翠シリーズは『medium 霊媒探偵城塚翡翠』『invert 城塚翡翠倒叙集』『invert II 覗き窓の死角』の3作。刊行順以外の読み方がない理由と、各作の形式の違いを、仕掛けに触れずに案内します。
相沢沙呼の城塚翡翠シリーズは、2019年の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、2021年の『invert 城塚翡翠倒叙集』、2022年の『invert II 覗き窓の死角』の全3作。死者が視える霊媒・城塚翡翠を探偵役に据えたシリーズで、第1作は第20回本格ミステリ大賞を受賞し、〈このミステリーがすごい!〉と〈本格ミステリ・ベスト10〉の2020年版でともに1位になりました。
このシリーズに読む順番の迷いはありません。刊行順に、『medium』から読む。 それ以外の読み方はないと言い切れるシリーズです。このページでは、その理由と、第2作以降で形式が変わる点を、仕掛けに触れずに説明します。
こんな読者のための一冊たち
- 『medium』が話題なのは知っているが、『invert』から読んでもいいのか迷っている
- 第2作・第3作が「倒叙集」と聞いて、第1作と何が違うのか知りたい
- 3作をまとめて読む予定なので、短い案内がほしい
以下、仕掛けには指一本触れていません。安心してお読みください。
全3作の刊行順 早わかり
| 順 | 書名 | 年 | 形式 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 1 | medium 霊媒探偵城塚翡翠 | 2019 | 長編 | 霊媒と推理作家が連続殺人鬼に迫る。本格ミステリ大賞受賞 |
| 2 | invert 城塚翡翠倒叙集 | 2021 | 中編集(3編) | 全編が倒叙形式。読者への挑戦付き |
| 3 | invert II 覗き窓の死角 | 2022 | 中編+長編規模の表題作 | 倒叙形式の第2弾。表題作はシリーズ初の長編規模 |
読み方の決まりは一つだけ
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を最初に。 第2作の『invert』は『medium』の続編にあたり、第3作の『invert II』は『invert』に続く倒叙形式の第2弾です。前の巻を知らなくても各編の事件は追えますが、このシリーズは第1作を読んだあとでなければ、第2作以降の面白さが半分も届きません。理由は書けません。書けないこと自体が理由です。
もう一つ知っておくとよいのは、第2作から形式が変わることです。『medium』は長編で、霊媒・城塚翡翠と推理作家・香月史郎が、霊視と推理を組み合わせて連続殺人鬼に迫ります。一方、『invert』と『invert II』は倒叙形式。犯人側の視点から犯行が描かれたうえで、探偵役の城塚翡翠がその論理を解きほぐしていく構成です。謎解き小説の手順を逆さに並べた形式を、題名そのものが名乗っているわけです。第1作の読み味を期待して第2作を開くと戸惑うので、形式の違いだけは先に知っておいてください。
各作の紹介
medium 霊媒探偵城塚翡翠(2019・第1作)
死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。二人が霊視と推理を組み合わせて、世間を騒がす連続死体遺棄事件と、証拠を残さない連続殺人鬼に迫ります。2019年9月に講談社から刊行され、2021年9月に講談社文庫に入りました。第20回本格ミステリ大賞小説部門受賞、〈このミステリーがすごい!〉2020年版1位、〈本格ミステリ・ベスト10〉2020年版1位。現代日本ミステリの主要ランキングで上位を占めた話題作で、シリーズに入るなら刊行順にこの巻から始めるのが自然です。
invert 城塚翡翠倒叙集(2021・第2作)
『medium』の続編にあたる第2作。題名が示すとおり全編が倒叙形式で、犯人側の視点から犯行が描かれたうえで、城塚翡翠がその論理を解きほぐしていきます。「雲上の晴れ間」「泡沫の審判」「信用ならない目撃者」の3編を収めた中編集で、各編には読者への挑戦が挿入されます。犯人がどう動いたかを先に見届け、探偵がどこから崩すかを当てる楽しみ方ができる一冊です。
invert II 覗き窓の死角(2022・第3作)
『invert』に続く倒叙形式の第2弾。2022年に講談社から刊行されました。収録は中編「生者の言伝」と、シリーズ初の長編規模となる表題作「覗き窓の死角」の2編。短編集形式の前作と比べ、長編パートを抱えることで一作あたりの密度と読み応えが増しています。倒叙ですから、計画の組み立ても実行の手順も、読者は犯人と一緒に目にしていきます。
よくある質問
Q. 『invert』から読んでもいい?
A. おすすめしません。『invert』は『medium』の続編で、第1作を読んでいることを前提にした面白さがあります。各編の事件そのものは追えますが、順番を守るだけで受け取れるものが大きく変わります。
Q. 倒叙とは?
A. 犯人を先に明かし、探偵がそこへ迫る過程を描く形式です。『invert』『invert II』はこの形式で書かれ、謎解き小説の手順を逆さに並べた構成を題名が名乗っています。
Q. 第1作だけ読めば十分?
A. 『medium』は一冊で完結した長編で、ここで止めても不足はありません。ただ、第2作以降は形式を変えて城塚翡翠を別の角度から見せるので、第1作が面白かった人なら続けて損はありません。
決まりは一つ。『medium』から、刊行順に。それだけ守れば、このシリーズは3冊とも約束どおりに応えてくれます。
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