雑記

ホームグロウン制度——「イギリス人だから高い」の本当の仕組みをゼロから説明する

プレミアリーグのホームグロウン制度を、規約集のどこに何が書いてあるかから説明します。25人リストの仕組み、非HG17人上限、国籍不問の定義、U21、UEFAとの違い、Brexit後のGBEまで。

目次

はじめに:その説明、たぶん3か所が間違っています

移籍市場が動く時期になると、こういう説明をよく見かけます。

「ホームグロウン枠を埋められる選手だから、この金額になった」
「プレミアリーグには英国人を8人そろえる決まりがある」
「だからイギリス人選手は割高になる」

話としては分かりやすいですし、実際に英国育ちの選手には高額な移籍が並びます。
ただ、この3つの文には、それぞれ別の間違いが入っています。

ひとつめ。
ホームグロウンは国籍の区分ではありません。
プレミアリーグの規約が見ているのはパスポートではなく、若い時期にどこのクラブに登録されていたかです。
英国代表の選手でも条件を満たさなければホームグロウンではありませんし、ブラジル代表やスペイン代表の選手でも条件を満たせばホームグロウンです。

ふたつめ。
「8人そろえる決まり」という条文はありません。
規約が定めているのは、ホームグロウンの最低人数ではなく、ホームグロウンではない選手の最大人数です。
向きが逆で、しかも人数をそろえること自体が義務になっていません。

みっつめ。
移籍金の話は、上の2つとは別の種類の話です。
制度がその選手を使いやすくすることと、その資格が値段を何ポンド押し上げたかを示すことは、まったく違います。

この記事では、この3つを順番にほどいていきます。
ただ、いきなり「25人」「17人」という数字から始めても意味が分かりません。
そもそもプレミアリーグの規約はどこにあって、クラブは何をリーグに提出していて、その紙にどんな上限がかかっているのか。
そこから始めます。

進み方はこうです。
まず規約集の場所と、クラブがシーズン中ずっと縛られる名簿の仕組みを押さえます。
次に、なぜ国籍ではなく育成地で数える制度になったのかを、1995年の判決からたどります。
そのうえで、チャンピオンズリーグの別枠、Brexitで変わった獲得条件、20クラブの実際の登録数、報道された移籍金の順に見ていきます。

条文の英文もそのまま引用しますが、直後に必ず日本語で言い換えるので、英語を読み飛ばしても話はつながります。
読み終わるころには、移籍記事の「HG枠のため」という一行を、自分で分解できるようになっているはずです。


第1章 ルールはどこに書いてあるのか

プレミアリーグの規約は、誰でも読めます

まず、話の出どころです。

プレミアリーグは毎シーズン、リーグ運営のルールをまとめた規約集を公表しています。
これが Premier League Handbook で、公式サイトからPDFで誰でも読めます。
以下ではこれを「Handbook」あるいは「規約」と呼びます。

Handbookは数百ページあり、Section A、Section B……とアルファベットで区切られています。
このうち Section A は定義集で、リーグが使う用語の意味をひたすら並べた章です。
定義は用語のアルファベット順に並び、A.1.1、A.1.2、A.1.3……と通し番号が振ってあるので、たとえば A.1.283 と書けば「Section A の定義集の283番目の項目」という意味になります。

サッカー記事で「規約A.1.283によれば」と書かれているのは、この場所のことです。
ホームグロウンに関係する条文は、Section A の定義がいくつかと、手続きを定めた Section U と Section V に分かれて置かれています。
これから出てくる番号は全部その位置を指しているだけなので、身構える必要はありません。

クラブは、リーグに名簿を出します

制度の土台は、25人でも17人でもなく、名簿の提出です。
ここが分かっていないと、以降の数字はただの暗号になります。

夏の移籍期間が閉じると、各クラブはそのシーズンにリーグ戦で使う選手の名簿をリーグへ提出します。
これが スカッドリスト(Squad List) です。
そして規約U.1が、夏の移籍期間の終わりからシーズン末までのリーグ戦に出られる選手を、次のように限定しています。

U.1. [...] for League Matches to be played between the close of the Summer Transfer Window and the end of the Season either: U.1.1. his name is included on the Squad List; or U.1.2. he is an Under 21 Player.

つまり、夏の移籍市場が閉じたあとのリーグ戦でプレーできるのは、スカッドリストに名前が載っている選手か、U21の選手だけということです。

これはかなり強い制約です。
クラブと契約していて、練習にも参加していて、健康な26歳の選手でも、この名簿から漏れていればシーズン後半のリーグ戦には一切出られません。
チャンピオンズリーグやカップ戦は別の規則で動きますが、リーグ戦についてはこの名簿がすべてです。

ホームグロウンの話は、この名簿に何人まで、どういう選手を載せられるかという話です。

名簿は最大25人、そのうち非ホームグロウンは最大17人

では、その名簿の上限を決めているのが A.1.283 です。
スカッドリストという言葉そのものを定義した条文なので、Section A に置かれています。

“Squad List” means the list of up to a maximum of 25 Players eligible to participate in League Matches during a Season of whom a maximum of 17 may not be Home Grown Players.

つまり、名簿に載せられるのは最大25人で、そのうちホームグロウンではない選手は最大17人までということです。

ここで見落とされやすいのが、原文の「up to a maximum of 25」という書き方です。
25人が上限だと言っているだけで、25人を提出しなければならないとは書いていません。
実際、公表されるリストには25人に満たないクラブがいくつも並びます。

算数にすると単純です。
非ホームグロウンを17人載せて、ホームグロウンが8人いれば、合計25人で名簿は満杯になります。
ホームグロウンが6人しかいなければ、17人と足して23人で打ち止めです。
逆にホームグロウンが10人いても、非ホームグロウンの上限が18人に増えることはありません。

だから「8人」という数字は、条文に直接書かれた人数ではありません。
25人という上限から17人という上限を引いた、引き算の答えです。

規約が数えているのは、ホームグロウンの最低人数ではなく、非ホームグロウンの最大人数です。
この向きを反対にすると、「英国人を8人買う義務」という説明ができあがります。


25人枠の本体は非HG最大17人という上限です。U21は25人リストの外からリーグ戦に出場できます。

図のオレンジ色の8人は、買ってきてはめ込むノルマではありません。
青い17人に上限があるせいで、25人まで使いたければ残りがそこになる、というだけの領域です。

3つの名簿で確かめます

数字の関係を、架空の3クラブで確かめてみます。

1つめのクラブは、非ホームグロウン17人とホームグロウン8人を提出しました。
合計25人で、両方の上限にちょうど届いています。
このクラブが新しい選手を1人加えたければ、資格にかかわらず誰かを名簿から外すしかありません。

2つめのクラブは、非ホームグロウン17人とホームグロウン6人を提出しました。
合計23人です。
名簿には2人分の空きがありますが、そこへ非ホームグロウンの選手を入れることはできません。
17人の上限に達しているからです。
このクラブが空きを使うには、ホームグロウンの選手を連れてくる必要があります。

3つめのクラブは、非ホームグロウン14人とホームグロウン6人で、合計20人です。
名簿には5人分の空きがあり、非ホームグロウンにもまだ3人分の余裕があります。
つまり非ホームグロウンなら3人まで、ホームグロウンなら5人まで加えられます。
どちらの上限が先に効くかは、加える選手の資格によって変わります。

この3つを見比べると、同じ「ホームグロウンの選手を獲得する」という行為でも、意味がクラブごとに違うことが分かります。
1つめのクラブにとっては入れ替えの話、2つめのクラブにとっては名簿を厚くする唯一の手段、3つめのクラブにとっては選択肢のひとつです。
第5章では、これを実際の20クラブの数字で見ます。

ホームグロウンかどうかは、育成登録歴で決まります

次は、その「ホームグロウン」の中身です。
定義は A.1.155 にあります。

“Home Grown Player” means a Player who, irrespective of his nationality or age, has been registered with any Club (or club) affiliated to The Football Association or the Football Association of Wales for a period, continuous or not, of three Seasons or 36 months prior to his 21st birthday (or the end of the Season during which he turns 21) [...].

つまり、国籍も現在の年齢も問わず、21歳の誕生日まで(または21歳になるシーズンの終わりまで)に、イングランドサッカー協会(The Football Association)またはウェールズサッカー協会(Football Association of Wales)の加盟クラブへ、通算3シーズンまたは36か月登録されていた選手がホームグロウンだ、ということです。

読みどころは3つあります。

ひとつは、条文が「irrespective of his nationality」と明文で書いていることです。
国籍を尋ねる分岐が定義そのものに存在しません。
「ホームグロウン=英国人」という理解は、規約の書き方と正面からずれています。

ふたつめは、対象がイングランドだけではないことです。
ウェールズサッカー協会の加盟クラブで過ごした期間も、そのまま算入されます。

みっつめは、期間が連続でなくてよいことです。
「continuous or not」とあるので、途中で他国のクラブに移っていても、通算で3シーズンまたは36か月に届いていれば条件を満たします。

そして、この判定は一度満たせば動きません。
21歳までの登録歴で決まる資格なので、30歳になっても40歳になってもホームグロウンのままです。


判定で見るのは21歳までの育成登録歴です。国籍を尋ねる分岐はありません。

図をたどると、どの分岐点でも聞かれているのは「どの協会のクラブに、いつ、何か月登録されていたか」だけだと分かります。
選手の代表チームも出身地も、この流れのどこにも出てきません。

U21は、名簿に載せなくても出られます

もうひとつ、25人リストの外側にある仕組みがU21です。
さきほど引用したU.1が、名簿掲載選手と並んで「Under 21 Player」を挙げていました。
その中身は A.1.321 にあります。

A.1.321. “Under 21 Player” means a Player under the age of 21 as at 1 January in the year in which the Season concerned commences (i.e. for Season 2026/27 born on or after 1 January 2005).

つまり、そのシーズンが始まる年の1月1日時点で21歳未満の選手がU21で、2026/27シーズンなら2005年1月1日以後に生まれた選手が当てはまる、ということです。
試合当日の年齢ではなく、シーズンごとに固定された基準日で判定します。

ここで言葉を正確にしておきます。
U21について不要なのは、25人のスカッドリストへの掲載です。
クラブがその選手の登録を持っていること自体は前提なので、「U21は登録しなくていい」とまとめてしまうと意味が変わります。

この仕組みがあるおかげで、25人リストの人数は「そのクラブがリーグ戦で使える選手の総数」ではなくなります。
名簿が20人のクラブでも、U21の選手は名簿とは無関係にピッチに立てます。
公式のスカッド発表が25人分の欄とU21の欄を分けて掲載しているのも、この2本立てを反映したものです。

そしてこれは、後で数字を読むときにも効いてきます。
ホームグロウンの条件を満たすU21選手がクラブに何人いても、25人リストに載せる必要がないなら、公表されるホームグロウン登録数には現れません。
公式リストのホームグロウン数は、クラブが抱えるホームグロウン選手の総数ではありません。

ホームグロウンが足りないと、どうなるのか

ここが、いちばん誤解されている部分です。

規約のスカッドリスト関連の条文に、ホームグロウン不足を理由とする罰金や勝ち点減点の規定はありません。
足りないクラブに起きるのは、25人の枠を使い切れないことです。
ホームグロウンが6人なら、非ホームグロウン17人と合わせて23人が上限になり、そこから先は誰も追加できません。

これは実害がないという意味ではありません。
シーズンは長く、負傷も出場停止も起きます。
名簿が23人のクラブと25人のクラブでは、シーズン後半に使える手駒の数がそのまま2人違います。

そして実際、各クラブの名簿の人数はばらばらです。
直近に公表されたリストでも、19人から25人まで幅がありました。
このばらつき自体が、「25人を埋める義務がない」ことの何よりの証拠になります。
実際の数字は第5章で見ます。

名簿は、いつでも書き換えられるわけではありません

最後に手続きの話を短く。

名簿への追加と削除は、クラブが所定の様式をリーグの理事会(Board)へ提出して申請します(U.4)。
そして理事会から書面の確認を受けた時点で、追加・削除の効力が生じます(U.5)。
書き換えができる時期も決まっていて、原則は移籍期間中、それ以外の時期は理事会の許可が必要です(U.6)。

つまり、シーズン中にクラブの都合で自由に入れ替えられる名簿ではありません。
夏に提出した名簿で冬まで戦い、冬の移籍期間で組み替え、そこからシーズン末まで戦う。
これが1シーズンの流れです。


第2章 なぜ「イギリス人枠」ではないのか

第1章で見たとおり、規約は国籍を一切数えていませんでした。
自国の選手を増やしたいのなら、国籍で数えるほうがずっと簡単です。
なぜそうしなかったのか。
ここには、はっきりした理由があります。

かつては、本当に国籍で数えていました

かつて、欧州のサッカーには文字どおりの外国人枠がありました。
試合に出せる外国籍選手は何人まで、という形で、クラブが起用できる人数を国籍で直接制限していたのです。

これを崩したのが、1995年12月15日のボスマン判決です。
欧州司法裁判所のCase C-415/93は、判決の結論部分でこう述べています。

“Article 48 of the EEC Treaty precludes the application of rules laid down by sporting associations under which [...] football clubs may field only a limited number of professional players who are nationals of other Member States.”

ここでいう「Article 48」は、当時のEC条約が定めていた労働者の自由移動の条項です。
EU域内では、加盟国の労働者はどの加盟国でも国籍を理由に差別されずに働ける、という決まりでした。

つまり判決は、他のEU加盟国籍の選手を何人までしか起用できない、という競技団体の規則は、労働者の自由移動に反するので使えないと判断したわけです。
サッカー選手も労働者であり、国籍を理由に働ける人数を絞るのは差別にあたる、という理屈です。

ただし、この判決が扱ったのはEU法と加盟国の労働者という文脈です。
世界中のあらゆる国籍枠が一律に違法になった、という判決ではありません。

国籍を数えられないなら、何を数えるか

判決の後、欧州のサッカーには課題が残りました。
自国で育った選手の出場機会をどう確保するか、という論点は消えていないのに、国籍という物差しは使えなくなったからです。

そこでUEFAが2006年から段階的に導入したのが、地元育ちの選手(locally trained player)の枠です。
25人の登録名簿のうち、地元育ちの選手のために確保する枠を、2006/07シーズンに4人、2007/08シーズンに6人、2008/09シーズンに8人と3年かけて増やしました。

この物差しは国籍を尋ねません。
聞くのは「若い時期に、どのクラブまたはどの協会に登録されていたか」だけです。
だからスペイン代表の選手でもナイジェリア代表の選手でも、条件を満たせば同じ区分に入ります。

国籍を数える制度から、育成への接続を数える制度へ。
これが1995年から2008年にかけて起きた転換です。

プレミアリーグは2010/11に追随しました

プレミアリーグが現在の制度を導入したのは、UEFAの3段階が終わった2年後、2010/11シーズンです。
イングランドサッカー協会が2014年に出した報告書(The FA Chairman's England Commission Report)が、この経緯を明記しています。

“In 2010-11, the Premier League followed suit when it introduced a rule that clubs could not name more than 17 non Home Grown players aged over 21 in any squad of 25.”

つまり、プレミアリーグは2010/11シーズンに、25人の名簿に載せられる21歳超の非ホームグロウン選手を17人までとする規則を導入したということです。
「followed suit」=先行したUEFAに続いた、という書き方になっています。

第1章で読んだ A.1.283 の骨格が、このときからほぼそのまま残っていることが分かります。
25人と17人という数字は、導入時の記述と現在の条文で同じです。

当時の議論には、自国育成選手の出場機会やアカデミーへの投資といった論点が並んでいました。
ただし、この報告書の一文から「代表チームの低迷が導入の理由だった」と読み取ることはできません。


ボスマン判決から、UEFAの段階導入、プレミアリーグの導入、Brexit後のGBEとESCまでの流れです。

年表を左から右に見ると、物差しの入れ替わりがはっきりします。
1995年までは国籍で数えていて、2006年からは育成地で数えるようになり、2010年にプレミアリーグがそれに合流しました。
右端にあるGBEとESCはBrexit後に加わった別の仕組みで、これは第4章で扱います。


第3章 UEFAの枠とはどう違うのか

チャンピオンズリーグに出るクラブは、名簿を2枚書きます。
1枚はここまで見てきた国内リーグ用の25人リスト、もう1枚がUEFA大会用の名簿です。
どちらも「25人」で「8」という数字が出てくるので混同されやすいのですが、中身は別物です。

UEFA大会の登録名簿List A

UEFA大会でクラブが提出するのが、UEFA大会の登録名簿List Aです。
上限とその内訳を定めているのが、チャンピオンズリーグ規則の31.04です。

31.04 No club may have more than 25 players on List A during the season. As a minimum, eight places are reserved exclusively for “locally trained players” and no club may have more than four “association-trained players” listed in these eight places on List A.

つまり、List Aは最大25人で、そのうち8枠は地元育ちの選手だけに確保され、その8枠に入れられる「同協会育ち」の選手は最大4人までということです。

ここに出てくる「地元育ち」は、2種類の選手をまとめた呼び名です。

31.05 A “locally trained player” is either a “club-trained player” or an “association-trained player”.

つまり、地元育ちの選手とは、自クラブ育ち(club-trained player)か同協会育ち(association-trained player)のどちらかだということです。

それぞれの定義が31.06と31.07にあります。

31.06 A “club-trained player” [...] irrespective of the player's nationality and age, has been registered with the player's current club [...] three entire seasons [...] or 36 months.

31.07 An “association-trained player” [...] irrespective of the player's nationality and age, has been registered with a club or with other clubs affiliated to the same association as that of the player's current club [...] three entire seasons [...] or 36 months.

つまり、自クラブ育ちは、いま所属しているクラブ自身に3シーズンまたは36か月登録されていた選手、同協会育ちは、いま所属しているクラブと同じ協会に加盟する別のクラブで同じ期間を満たした選手です。
対象になる年齢は15歳から21歳までのあいだで、こちらも両方とも国籍を問いません。

プレミアリーグの定義とまったく同じ発想です。
「irrespective of the player's nationality and age」という一句が、UEFA側にも同じように置かれています。

「4+4」ではありません

よくある誤解が、8枠を「自クラブ育ち4人+同協会育ち4人」と固定で覚えてしまうことです。

31.04が制限しているのは、同協会育ちの上限が4人であることだけです。
自クラブ育ちには上限がありません。
ですから8枠を満たすとき、自クラブ育ち4人と同協会育ち4人でも、自クラブ育ち5人と同協会育ち3人でも、自クラブ育ち8人と同協会育ち0人でも構いません。

言えるのは、8枠を全部埋めるなら、自クラブ育ちが最低でも4人必要になるということです。
同協会育ちで埋められる上限が4人だからです。

そして、足りないときの効果が31.08に書かれています。

31.08 If a club has fewer than eight locally trained players on its List A, the maximum number of players that can be registered on this list is reduced accordingly.

つまり、地元育ちが8人に満たなければ、その足りない分だけList Aに登録できる人数の上限が減るということです。
地元育ちが7人なら上限は24人、6人なら23人という具合に、そのまま削られていきます。

具体的に考えてみます。
自クラブ育ちが3人、同協会育ちが4人しかいないクラブは、地元育ちが合計7人で、8枠にひとつ足りません。
この場合、31.08によりList Aの上限は24人に下がります。
そしてこの穴は、同協会育ちを連れてきても埋まりません。
8枠に置ける同協会育ちは4人までと決まっているので、埋められるのは自クラブ育ちだけです。

ここが「地元育ちが何人いるか」ではなく「8枠を何人で埋められるか」を数える理由です。
自クラブ育ちが薄いクラブは、同協会育ちを何人集めても8枠を満たせません。


プレミアリーグは非HG17人上限、UEFAは地元育ち8枠と同協会育ち最大4人を組み合わせます。

同じ選手が、国内と欧州で違う区分に入ります

2つの制度の違いは、大きく3点です。

1点目は、育った場所の細かさです。
プレミアリーグのホームグロウンは、イングランドかウェールズの協会に加盟するクラブでさえあれば、どこで育っていても構いません。
自分のクラブで育ったかどうかは問いません。
一方UEFAは、自クラブ育ちと同協会育ちを分けたうえで、同協会育ちの人数に上限をかけます。

2点目は、上限の効き方です。
プレミアリーグでは、非ホームグロウン17人という上限が先に効き、その結果として名簿が25人に届かなくなります。
UEFAは、31.08が「上限が減る」と直接書いています。
見た目の結果は似ていますが、条文の作り方が違います。

3点目は、この2つを同時に解かなければならないことです。
イングランドの別クラブで育った選手は、プレミアリーグではホームグロウンとして扱われますが、UEFAでは同協会育ちにしかなりません。
そのクラブが同協会育ちをすでに4人登録していれば、この選手はList Aの8枠には入れられません。

つまり、欧州大会に出るクラブにとって、選手1人の「使いやすさ」は名簿2枚ぶんで評価する必要があります。
補強の判断が国内リーグだけを見るクラブより複雑になるのは、このためです。


第4章 Brexitで何が変わったのか

ここまでは、名簿に何人載せられるかという話でした。
第4章は、そもそもその選手を英国に連れてこられるかという話です。
Brexitで変わったのは、こちらのほうです。

Brexit前は、EU選手を自由に獲れました

Brexit前の英国はEUの一員でしたから、第2章で出てきた労働者の自由移動がそのまま働いていました。
EU加盟国の選手は、英国で働くための就労許可を取る必要がありませんでした。
クラブから見れば、EU域内の選手は国内の選手と同じ手軽さで契約できたわけです。

もうひとつ、若い選手についての規則があります。
FIFAの選手の地位と移籍に関する規則の第19条は、原則をこう定めています。

“International transfers of players are only permitted if the player is over the age of 18.”

つまり、選手の国際移籍が認められるのは18歳を超えている場合だけということです。
16歳の選手を他国から連れてくることは、原則としてできません。

ただし第19条には例外が5つ置かれています。
親がサッカーと無関係な理由で移住する場合、16歳から18歳のEUまたはEEA域内の移籍、国境をまたぐ近隣地域の移籍、人道上の保護、学生交換の5類型です。

このうち2つめが、Brexit前の英国クラブにとって大きな意味を持っていました。
英国はEU加盟国だったので、EU域内の16歳から18歳の例外を使えたのです。
つまり、EU各国のアカデミーにいる16歳の選手を獲得し、21歳になるまでに3シーズンの登録を積ませて、そのままホームグロウンに育てることが制度上できました。

Brexit後は、EU選手にもGBEが必要になりました

自由移動が終わったことで、この2つが同時に変わりました。

まず就労資格です。
英国での就労権を持たないEU選手にも、他の海外選手と同じ手続きが必要になりました。
それが GBE(Governing Body Endorsement) で、就労ビザの前提としてイングランドサッカー協会が出す推薦にあたるものです。
協会の発表はこう説明しています。

“Post Brexit, clubs will not be able to sign players freely from the EU. Players from EU countries [...] will be required to gain a GBE, like all other overseas players without the right to work in the UK.”

“It will be implemented in the January 2021 transfer window [...].”

つまり、Brexit後はEU諸国の選手も、英国での就労権がなければ他の海外選手と同様にGBEを取る必要があり、これは2021年1月の移籍期間から実施されたということです。

GBEはポイント制で運用されています。
協会の現行基準は、次の経路を定めています。

  1. The FA will grant a GBE if the Player’s International Appearances meet the Auto Pass Percentage [...].

  2. [...] The FA will grant a GBE if a Player achieves 15 or more points [...].

  3. [...] Exceptions Panel [...] if the Player achieves between 10 and 14 points [...] and the club can evidence exceptional circumstances [...].

  4. [...] the club may apply for the Player to be granted a GBE as an ESC Player [...].

つまり、代表での出場割合が基準を満たせば自動的に承認され、そうでなければ点数を計算して15点以上なら承認、10点から14点ならクラブが特別な事情を示して審査委員会(Exceptions Panel)に諮り、それとは別にESCという枠もある、ということです。

点数の材料は5種類です。
代表での出場、所属していた国内リーグでの出場時間、国際大会での出場時間、前所属クラブのリーグ順位と国際大会での成績、そして所属していたリーグ全体の格です。
要するに、すでに実績のある選手ほど通りやすく、これから伸びる若手ほど通りにくい設計になっています。

若手のためにESCという経路があります

そこで用意されているのが ESC(Elite Significant Contribution) です。
通常のポイント要件に届かない選手にも道を残すために、2023年6月14日に導入された経路です。

条件は3つあります。
2003年1月1日以後に生まれていること(2026/27シーズンの基準)、協会がその選手をelite playerと認めること、そしてイングランドのサッカーへ大きく貢献すると協会が認めることです。

さらに、クラブが使える枠数にも上限があります。
プレミアリーグとチャンピオンシップのクラブが使えるESC枠は1枠から4枠で、追加分を含めても最大4枠です。
無制限に若手を連れてこられる仕組みではありません。

16歳から18歳の例外は、使えなくなりました

そして、先ほどのFIFA第19条です。

Brexitで変わったのは、英国クラブがEU・EEA域内の16歳から18歳の例外を使えなくなったことです。
英国がEUの外に出たので、EU域内の移籍という条件に当てはまらなくなりました。

第19条の例外そのものは、いまも5類型すべてが規則に残っています。
消えたのではなく、英国が使える立場でなくなったのです。

結果として、EUのアカデミーから16歳の選手を連れてきて英国で育てる経路は、Brexit後は使えません。
海外から若手を獲るなら、18歳を超えてから、GBEを取ってから、という順番になります。

U21の非ホームグロウンには、年6人の上限があります

もうひとつ、プレミアリーグ側にも上限があります。
規約V.44です。

“During the Transfer Windows in each Season, no Club may register and secure governing body endorsements [...] for more than six new U21 Non-Home-Grown Players.”

つまり、1シーズンの移籍期間を通じて、クラブが新しく登録してGBEを確保できるU21の非ホームグロウン選手は最大6人までということです。

第1章で「U21は25人リストに載せなくてよい」と書きました。
これを「若い外国人選手なら人数無制限に集められる」と読むと間違いになります。
名簿の掲載義務がないことと、新しく登録できる人数に上限がないことは別の話で、後者にはこのV.44が効いています。

閉じたのではなく、狭くなりました

Brexit後の状況をまとめると、こうなります。

18歳未満の海外選手を連れてくる経路は、実質的に使えなくなりました。
EU選手にもGBEが必要になり、実績の乏しい若手ほど通りにくい設計です。
ESCとV.44には枠数の上限があります。

一方で、18歳で英国に来て、21歳になるシーズンの終わりまでに3シーズンまたは36か月の登録を積むことは、いまも制度上できます。
GBEにも、自動承認、15点、審査委員会、ESCと複数の経路が残っています。

海外から若い選手を連れてきてホームグロウンに育てる道が、閉じたわけではありません。
使える経路が減り、獲得できる年齢が上がった、というのが正確な言い方です。

そして、この「狭くなった」ことが第6章の話につながります。
海外から若手を入れてホームグロウンに育てる経路が細ったぶん、将来ホームグロウンになれるのは、より早い段階から国内で育つ選手に絞られていくからです。


第5章 実際の登録リストを見る

条文の読み方が分かったところで、実際の名簿を見ます。
以下の数字は、2026年夏の移籍期間が閉まったあと、9月3日に公表された2026/27シーズンの公式リストのものです。


2026/27開幕時点の公式25人リストです。オレンジがHG、青が非HGで、クラブごとに総数も構成も違います。

ホームグロウンは6人から17人まで幅があります

図を見て最初に分かるのは、棒の長さも色の比率も、20クラブでばらばらだということです。

ホームグロウンの登録数は、最少がサンダーランドの6人、最多がハル・シティの17人でした。
「全クラブが8人そろえている」という説明は、この一枚で成立しなくなります。

対比が分かりやすい4クラブを並べます。

リバプールは、ホームグロウン8人と非ホームグロウン17人で合計25人。
非ホームグロウンを上限ちょうどまで使い、25人の名簿を満杯にした形です。

サンダーランドは、ホームグロウン6人と非ホームグロウン16人で合計22人。
名簿には3人分の空きがありますが、非ホームグロウンで埋められるのはそのうち1人だけです。
第1章で書いた「ホームグロウンが6人なら上限は23人」が、そのまま形になっています。

マンチェスター・シティは、ホームグロウン7人と非ホームグロウン13人で合計20人。
非ホームグロウンにはまだ4人分の余裕がありますが、25人の枠は5人分空いたままです。

ハル・シティは、ホームグロウン17人と非ホームグロウン8人で合計25人。
リバプールと同じ25人ですが、色の比率はちょうど裏返しになっています。

名簿を25人まで使い切ったのは、ブレントフォード、クリスタル・パレス、フラム、ハル・シティ、イプスウィッチ・タウン、リバプール、ノッティンガム・フォレスト、トッテナムの8クラブでした。
しかも同じ25人でも中身は違います。
リバプールとクリスタル・パレス、トッテナムが8人と17人、ハル・シティが17人と8人です。
25人という総数からは、そのクラブがホームグロウンをどれだけ抱えているかは分かりません。

そして20クラブを通して、非ホームグロウンが17人を超えたクラブはひとつもありませんでした。
上限ちょうどの17人に届いたのは、リバプールとクリスタル・パレス、トッテナムの3クラブです。
上限が実際に守られていることと、25人を埋める義務がないことが、同じ一枚から確認できます。

名簿の空きは、そのままホームグロウン不足を意味しません

もうひとつ、この図の読み方について。

25人リストに載っているのはシニア選手だけで、U21は含まれません。
ですから棒の長さは「そのクラブがリーグ戦で使える選手の数」ではありません。
名簿が20人でも、U21の選手を加えれば実際に起用できる人数はもっと多くなります。

また、この数字はホームグロウンが多いクラブほど育成が優れている、という順位表でもありません。
名簿は負傷、契約、移籍、U21の構成といった事情がその日に交わった結果のスナップショットです。

外国代表の選手が、ホームグロウンとして登録されています

公式のスカッド発表は、ホームグロウンに該当する選手に印を付けています。
その印が付いた選手を見ると、第1章で読んだ「国籍を問わない」がそのまま形になっていることが分かります。

アーセナルのダビド・ラヤ、ウィリアム・サリバ。
アストン・ヴィラのマッティ・キャッシュ、イアン・マートセン。
リバプールのジェレミー・フリンポン。
マンチェスター・ユナイテッドのアマド・ディアロ。

いずれも英国以外のシニア代表として知られる選手ですが、公式リストではホームグロウンです。
21歳までにイングランドまたはウェールズの協会加盟クラブで所定の期間を過ごしたからです。

なお、公式のスカッド発表に選手の国籍やパスポートの欄はありません。
ここに挙げたのは、ホームグロウンの印が付いていて、かつ非英国の代表チームで知られる選手という意味です。

ホームグロウン資格の価値は、クラブによって違います

最後に、この数字が補強にどう効くかです。

リバプールは非ホームグロウンが17人の上限に達し、名簿も25人で満杯でした。
この状態では誰を獲るにも入れ替えになりますし、非ホームグロウンを17人より増やす形の入れ替えはできません。
第1章の2つめの例で見たように、非ホームグロウンが17人のまま名簿に空きがあるクラブなら、その空きを埋められるのはホームグロウンだけです。

ニューカッスル・ユナイテッドのように非ホームグロウンが8人しかいないクラブでは、この制約はまだ遠くにあります。
非ホームグロウンをあと9人加えても、上限に触れないからです。

同じホームグロウン選手でも、そのクラブが非ホームグロウンを何人抱えているかで、価値がまったく変わります。
「HG枠のため」という説明が説得力を持つかどうかは、獲得するクラブの名簿の現在地しだいです。


第6章 それで、「イギリス人だから高い」のか

ここまでの内容で、需要と供給の形が見えてきます。

需要が集中しやすい構造は、たしかにあります

需要側から見ます。

プレミアリーグの20クラブが、同じ資格を欲しがっています。
非ホームグロウンの上限が17人と決まっている以上、名簿を厚くしたいクラブはホームグロウン資格のある選手を必要とします。
そして欧州大会に出るクラブは、第3章で見たとおりUEFA側の8枠も同時に埋めなければなりません。

供給側はどうか。
ホームグロウン資格は、21歳までにイングランドかウェールズの協会加盟クラブで3シーズンまたは36か月を過ごした選手にしか付きません。
これは後から買えるものではなく、過去の登録歴だけで決まります。
今シーズン必要になったからといって、その年に作れる資格ではありません。

さらに第4章のBrexitです。
16歳から18歳で海外から連れてくる経路が使えなくなったぶん、これからホームグロウンになれるのは、より早い段階から英国とウェールズのアカデミーにいる選手に絞られていきます。

20クラブが同じ資格を求め、供給が過去の育成登録歴で固定され、将来の供給元も狭まった。
需要が集中しやすい構造がある、というところまでは、条文から素直に説明できます。

報道された移籍金を並べてみます

では実際の金額はどうか。
BBC Sportが報じた移籍金を、ポジションごとに並べます。

センターバックでは、レスター・シティからマンチェスター・ユナイテッドへ移ったハリー・マグワイアが2019年に£80m。
比較対象として、RBライプツィヒからマンチェスター・シティへ移ったヨシュコ・グヴァルディオルが2023年に£77mです。

攻撃的な位置では、アストン・ヴィラからマンチェスター・シティへ移ったジャック・グリーリッシュが2021年に£100m。
ヴォルフスブルクからマンチェスター・シティへ移ったケヴィン・デ・ブライネが2015年に£55mです。

中盤の中央では、ウェストハム・ユナイテッドからアーセナルへ移ったデクラン・ライスが2023年に£100mと最大£5mの追加条項。
アトレティコ・マドリードからマンチェスター・シティへ移ったロドリが2019年に£62.8mです。


BBC Sportの報道額をポジション群ごとに並べた実例です。時期や年齢などをそろえた比較ではありません。

マグワイア、グリーリッシュ、ライスの3人がホームグロウン、残る3人が非ホームグロウンです。

この6件から、資格の値段は出てきません

並べてみると差はありますが、この6件から「ホームグロウンだから£3m高い」といった読み方はできません。
理由は3つあります。

まず、時期がそろっていません。
デ・ブライネの2015年からライスとグヴァルディオルの2023年まで、8年の幅があります。
この間に放映権料もクラブの収入も移籍市場の相場も動いていますから、金額を同じ物差しで並べることはできません。

次に、金額の中身が違います。
グリーリッシュの£100mは契約に入っていた解除条項の金額として報じられたもので、クラブ間の交渉で決まった額ではありません。
ライスの£105mは、当初額£100mに最大£5mの追加条項を足した上限のパッケージです。
グヴァルディオルの£77mは追加条項なしと報じられています。

そして、選手の条件がそろっていません。
移籍時の年齢、契約の残り期間、そのときの能力、売り手クラブの財政状況、買い手クラブの緊急度。
どれも金額に直接効く要素ですが、この6件ではまったく統制されていません。

要するに、高額なホームグロウンと高額な非ホームグロウンが両方存在するというところまでが、この6件から言えることです。
ホームグロウン資格が価格を何ポンド押し上げたかを測るには、年齢や契約や時期をそろえた、もっと大きな標本が必要になります。

制度上の価値と、値段への影響を分ける

整理すると、こうなります。

制度上の価値は、条文から説明できます。
非ホームグロウンが17人に近いクラブにとって、ホームグロウン資格のある選手は名簿を削らずに加えられる選手です。
欧州大会に出るクラブなら、List Aの8枠にも効きます。
この使いやすさは、25人と17人の算数から直接出てきます。

一方、その使いやすさが値札に何ポンド乗っているかは、この記事で扱った資料からは出ません。

「イギリス人だから高い」ではなく、「その資格に需要が集中する構造があり、値段への影響はまだ測られていない」。
これが、いま言い切れる範囲です。


第7章 ニュースの読み方

最後に、移籍記事で「ホームグロウン枠のため」と読んだときに確かめる順番をまとめます。

1. その選手は、定義を満たしているか。
見るのは国籍でも代表チームでもなく、21歳までにイングランドかウェールズの協会加盟クラブへ3シーズンまたは36か月登録されていたかどうかです。
外国代表の選手がホームグロウンであることも、英国代表の選手が非ホームグロウンであることも、どちらも普通に起こります。

2. そのクラブは、非ホームグロウンを何人抱えているか。
17人に達しているクラブと、9人しかいないクラブでは、同じ選手の意味がまったく違います。
17人に近いクラブほど、ホームグロウン資格のある選手が名簿を圧迫せずに加われる貴重な存在になります。

3. そのクラブの名簿は、いま何人か。
25人を埋める義務はありません。
ホームグロウンが足りなければ、名簿を25人未満にしておけば規則には収まります。
罰金や勝ち点減点ではなく、使える枠が減るというのが、不足したときに起きることです。

4. その選手は、U21か。
U21なら25人の名簿に載せる必要がないので、名簿の人数には影響しません。
ただし海外から新しく連れてくるU21の非ホームグロウンなら、GBEが必要で、1シーズンに6人という上限もかかります。

5. そのクラブは、欧州大会に出るか。
出るなら、UEFAのList Aも同時に考える必要があります。
イングランドの別クラブで育った選手は、国内ではホームグロウンでも、UEFAでは同協会育ちにしかならず、8枠のうち4人までしか入れられません。

この5つを踏むと、「英国人を8人買う決まりがあるから」という一行では足りないことが分かります。
規約が定めているのは非ホームグロウンの上限17人であり、ホームグロウンの購入ノルマではありません。
そして同じ資格でも、クラブの名簿の現在地によって、必要度はまるで違います。

移籍金の見出しについては、もうひとつ質問を足すだけで十分です。
「比べている相手と、年齢も契約も時期もそろっているか」。
そろっていない2つの金額を引き算しても、出てくるのは資格の値段ではありません。

ホームグロウン制度は、英国人を優遇するために国籍を数える規則ではありませんでした。
国籍を数えられなくなった欧州サッカーが、代わりに育成登録歴を数えることにした。
その結果として生まれた資格に、20クラブの需要が集中している。

ここまで分けて読めるようになれば、この夏の移籍記事も、だいぶ違って見えるはずです。

データ:プレミアリーグ規約2026/27、UEFA Champions League Regulations 2026/27、FIFA RSTP July 2025、The FAのGBE基準2026/27・公式発表、CJEUボスマン判決、プレミアリーグ公式スカッドリスト
対象:制度は1995年12月から2026/27シーズンの規則まで。クラブ別登録数は2026/27開幕時点(2026年9月3日公表)、移籍金6件はBBC Sportの2015〜2023年の報道額
注記:移籍金の実例は年齢・契約・移籍年などを調整した因果比較ではなく、ホームグロウン資格による価格効果の大きさは推定していません

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この記事を書いた人

リットン

都内金融機関で経営企画とデータアナリストをしているアラサー。
文系の非エンジニアですが、独学で始めた Python と生成AIにすっかりはまりました。
プログラミング・サッカー・ミステリ紹介など、好きなことを好きに書いています。

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